2012年2月25日土曜日

グレン・ウィリストンはなぜ?

このブログに興味のある方は、グレン・ウィリストン/飯田史彦編集『生きる意味の探究』徳間書店、1999を読んでおいでだろうと思います。
最近この『生きる意味の探究』を読み直し、ウィイリストンほどの前世療法家がなぜ?と思うことがしきりです。その「なぜ?」の部分を前掲書から4点取り出してみます。
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①ある人物が、催眠状態で、過去に生きていた人物になりきり、異なる抑揚や調子で話し始め・・・P23
②彼女は過去生へと戻っていたのだ。彼女の名前は、もはやジャネットではなくメアリーだった・・・私の耳に聞こえる声は、東部訛りの成人女性の声から、ソフトな響きの英国少女の声に変わっていた・・・P26
③退行催眠中に、まったく別の人格が自分の身体を通して語っているのを感じながら、その話の中に割り込むことができなかった。このような「意識の分割」は、過去生の退行中に必ずと言っていいほど見られる非常に面白い現象である。私はのちに、多くの人々からこの現象を何度も観察するようになった。・・・・P61
④過去生の人格が知る由もない文明の利器の名前を出すと、クライアントは驚いて、催眠中にけげんなそうな表情を浮かべる・・・P121
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上記抜き書きの①と②を読む限り、ウィリストンは、セッション中のクライアントの語りをあくまで「前世記憶の想起」であるととらえていると思われます。
それは「過去に生きていた人物になりきり」や、「過去生へと戻っていたのだ」というウィリストンの文言から明らかなように思われるからです。どこまでもクライアント自身の想起する前世記憶だととらえているのです。
しかし、③では、「別の人格が自分の身体を通して語っているのを感じながら、その話の中に割り込むことができなかった」というクライアントの「意識の分割」状態を述べています。
また、④ではウィリストンが「過去生の人格が知る由もない文明の利器の名前を出すと、クライアントは驚いて、催眠中にけげんなそうな表情を浮かべる」という奇妙な現象を述べています。
私が? に思うのは、③④の意識現象をきちんととらえているにもかかわらず、なぜ相変わらず「前世記憶の想起」という解釈にこだわるのか? という点です。
③のように、「別の人格が自分の身体を通して語っているのを感じ」るのであれば、前世の人格が顕現化してクライアントの身体を通して自己表現しているのだ、とありのままに解釈するべきでしょう。
②「東部訛りの成人女性の声から、ソフトな響きの英国少女の声に変わっていた」というクライアントの声の変質状態を観察しながら、英国少女の前世人格が顕現化したと、なぜ考えないのか。
また、④のように、「過去生の人格が知る由もない文明の利器の名前を出すと、クライアントは驚いて・・・けげんそうな表情を浮かべる」ことを、ありのままに解釈すれば、「けげんそうな表情」を浮かべるのはクライアントではなく、顕現化している「過去生の人格」なのだと考えるべきでしょう。
これまで、「何千人もの人々と」前世療法をおこなってきた(P23)ウィルストン が、ついに,
「前世人格の顕現化現象」という仮説を持たなかったのか、私には不思議でなりません。
おそらく、「あなたは、トンネルを抜け、過去の場面に到達するでしょう」、「目の前に展開している過去の場面を見ていきます」(P316)などの誘導法に、最初から含意されている「前世の記憶場面を想起する」という常識的先入観、大前提から、ついに脱することができなかったからだ、と私には思われます。
そして、不可解なことは、「生まれ変わりの真実性は証明不要なほど確かな事実だ(P96)」と断言しているにもかかわらず、「前世の記憶」がどこに存在しているのかについて一切言及していないことです。
このことは、ブライアン・ワイスも同様です。
まさか脳内に存在していると思ってはいないでしょうに。
私の知る限り、前世療法中のクライアントの語りを、「クライアントとは別の前世人格が顕現化してクライアントの身体(脳)を通して自己表現しているのだ」という解釈をしているのは、応答型真性異言を発見したイアン・スティーヴンソンだけです。彼は、「トランス人格(催眠性トランス状態で現れる前世の人格)」が顕現化して、応答型真性現現象を起こしていると表現しています。
しかし、スティーヴンソンも、「トランス人格」の存在する場については言及していません。
そして私は、顕現化する前世人格の存在の場は、「魂の表層」であり、しかも、今も当時のままの感情をもって生きて存在している、という作業仮説を立てています。
したがって、セッション中に私が対話する相手は、クライアント自身ではなく、クライアントの魂の表層から顕現化した前世人格とであり、しかも現在進行形で対話していると考えています。
この仮説に自信を与えたのが「ラタラジューの事例」でした。
このような途方もない前提でおこなうSAM前世療法は、世界唯一のものだと自負しています。
特許庁は、SAM前世療法を独自の前世療法として第44類の商標登録を認めてくれたのです。

1 件のコメント:

茶谷 さんのコメント...

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おそらく、時制の問題ではないでしょうか?
過去に起こった事柄に対して、過去に生きた過去の人物が、「今」という時間において、現在進行形のように話をする、という点が、うまく処理しきれなかったのではないでしょうか?
かく言う私自身も、タエさんの事例などを拝読して、タエさんが、苦しむ場面などは、終わった事柄について、被験者が想起するのでなく、今、まさに苦しいといった再現には、何故なのだろう、時間はどうなっているのだろう、と不思議にも感じます。アンエイのタエさんが、不意に未来の誰かに問われ、答えるという体験をしたのかな、と、マンガの、ドラえもんなどの、タイムマシンにおけるパラドックスを感じます、なにか、そんなような、時間に対する歪みを、処理しきれなかったのではないでしょうか?
長文を、失礼致しました。