2012年2月2日木曜日

守護霊とおぼしき存在者との対話

守護霊とおぼしき存在者者との対話をどう解釈するか
「タエの事例」には、筆者独自の冒険的試みがされています。
それは、タエの死後、中間世と呼ばれる次元での記憶を探り、そこで顕現化した「守護霊とおぼしき存在者」との直接対話を試みたことです。
つまり、この「守護霊とおぼしき存在者」を里沙さんに「憑依」してもらい、筆者と直接対話するということを試みていることです。
このセッションでは、この中間世で顕現化した「守護霊とおぼしき存在者」を確認し、里沙さんに「憑依」してもらい、筆者とタエの状況や前世記憶の真偽の証拠をめぐって、20分間というかなり長時間の直接のやりとりをおこないました。
そして、興味深いことは、この「憑依」とおぼしき間のやりとりを、里沙さんはまったく記憶していないと報告していることです。
タエの前世を想起している時は、いくら前世人格のタエに同一化しているように見えても、彼女の意識は残っており、想起していた間の記憶も保たれていました。
したがって、「憑依」の間は、彼女の意識は、「守護霊とおぼしき存在者」によって占有されていたと考えることができるのではないでしょうか。
しかし、この憑依様の意識現象の解釈には大きく三つの仮説が考えられます。
一つは催眠学でいう「人格変換」とか「役割演技」で説明するものです。
つまり、里沙さんが筆者の期待に応えて、「守護霊」としての人格を想定し、守護霊になったつもりでその役割を演技したと考えることです。
しかし、この解釈では「守護霊とおぼしき存在者」が、里沙さんの知るはずのない詳細な情報を七点も語り、しかも五点が史実と一致し、残り二点は検証不可能だったという事実、つまり語りに誤りがなかった事実を説明することができません。
架空の人格が本人の知らない情報をどうして語れるのでしょうか。
もう一つの解釈は「守護的な存在者」とは、里沙さん自身の自我の非常に高度な領域(高位自我=ハイヤーセルフ)の現れであり、「魂状態」の里沙さんは、受動性や自覚能力が増大した特異的な自我状態に入っていたという解釈です。
中間世とは、深い催眠状態によって、自我が柔軟になり、高位自我が働きやすくなっている状態であり、そうした状態が神話的、象徴的に守護霊として表現されたものだと考えることです。
したがって、高位自我は強力な超常的能力を持っていて、前世という物語を作り上げて、それを守護霊として提示したのだということが言えるかもしれません。
ただし、なぜそのような迂遠(うえん)な手続きを取るのかが謎となり、このハイヤーセルフ仮説でもおさまり切れるものではありません。
これら一連の意識現象の心理学的解釈に対して、筆者は次第に次のような第三の仮説に立つことがありのままの自然な解釈ではないかと思うようなりました。
それは、前提として、「魂」や「霊」と呼ばれるものの存在を認める立場からの解釈です。
ありのままに現象を解釈するに当たって、「霊魂」と聞くだけで腰が引け、非科学的だと決めつけそれを回避するような解釈をひねり出すことは、「唯物論思考」に染まり過ぎた近代人的偏向ではないかと考えるようになったからです。 
この立場に立てば、「魂状態」だと自覚している「中間世」の里沙さんは、深い催眠状態の中で、当人の自覚どおり、肉体とは別個の存在である「魂」として顕現化した状態にある、と解釈することになります。
したがって、筆者は、まさしく彼女の「魂」と面接したということになります。
そして、彼女が中間世で出会った「人間的イメージを纏(まと)った神的な存在者」は、一部の宗教思想で提示されているような「指導霊」ないし「守護霊」と呼ばれる存在だと考えることができ、まさしく筆者はそのような「守護霊」と対話したのだということになります。
そして、この解釈が妥当であれば、前世療法における「中間世=魂状態」とは、クライアントが「霊界」とのつながりを得やすくなっている状況であり、そこでは「守護霊」との出会いと対話が可能な状況にあるということになります。そして、求めに応じて「守護霊」がクライアントに憑依しセラピストである筆者と会話するという現象は、「霊」が「霊媒」を通して会席者と会話をするという、いわゆる「交霊会」と同様の構造だと見なせる現象が起こったと解釈することができると思われます。
このことは、「霊的存在とのコンタクト」という、人類の歴史が始まって以来求め続けられ、霊媒ないしシャーマン、チャネラーと呼ばれる特殊能力の持ち主のみが独占してきた霊との交わりが、深い催眠状態を通じて、一般の人にも可能になるということを示しているのではないでしょうか。
少なくとも、深い催眠状態に入れば、自らの「守護霊」とのコンタクトが可能になるのだとすれば、前世療法は、催眠療法の一つとしてのこれまでの位置づけ以上に、かなり大きな霊的意義を含んでいると考えられます。
さらにこのこと、つまり一般の人にも催眠を通して霊的存在とコンタクトがとれるという、前世療法において発見された現象は、近年、「体外離脱」とか「臨死体験」と呼ばれ、「死後の世界」を垣間見たり「守護的存在」と出会ったとされる一般の人の数多くの体験とも軌を一にする現象だと考えることができるのではないでしょうか。
20世紀半ばから21世紀の現在にかけて、「体外離脱」「臨死体験」「前世療法」のそれぞれにおいて、一般の人々と霊界とのコンタクト現象が同時進行で始まっていると考えることができそうです。

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