2013年8月15日木曜日

SAM前世療法の成立 その20

SAM前世療法における「魂」と「霊」の概念、および憑依仮説
SAM前世療法においては、「魂」と「霊」の概念を明確化して、用語の混乱をさけるようにしています。
「霊」は、肉体を持たない存在を指します。
高級霊、低級霊と呼ばれる存在は、霊格の違いこそあれ、ともに肉体を持たない点では同様です。
肉体を持たない「霊」が、肉体という器を持ち、その中に位置付いたときには「魂」と呼び換えます。
したがって、人は、生きている状態であれば、通常誰もが肉体に「魂」を蔵していることなります。
そうして人が死に、「魂」が肉体という器を失ったときには、ふたたび「霊」に戻ることになります。
こうした概念からすれば、「魂」も、「霊」も、肉体を持つかどうかの区別であり、本質的な違いはありません。
人の本質は霊的存在である、という意味も、こうした概念に立てば、十分了解できると思います。
ところで、SAM前世療法において、魂状態の自覚に至る経験の報告として、そうした自覚状態では、体重の感覚が失われ、「わたし」という意識のみがあり、しかもその「わたし」が、肉体からずれたり、肉体を離脱しているという感覚になると言います。
こうした意識状態が「魂」の自覚であるとすれば、これは肉体を失った「霊」と同様の次元に並んだと考えてもよいように思われます。
そうであるからこそ、「魂の自覚状態」に至ったクライアントに、霊的存在が憑依したり、霊的存在とコンタクトがとれたりする意識現象が起こることが了解できることになります。
いわゆる霊能のない私が、こうした霊的問題の回答を得るために用いる手段は、信頼のおける守護霊とよばれる高級霊に尋ねることです。
そして、私にとって信頼のおける守護霊は、里沙さんの守護霊です。
彼女の守護霊の憑依実験において、彼女の守護霊は、「自分は霊界においては異例の存在である」と告げています。
「霊界において異例の存在である」理由は、「稲垣に霊界の諸情報を伝えることを使命としているからだ」と告げています。
この里沙さんの守護霊との対話については、http://www.k5.dion.ne.jp/~spiritlb/3-12.html をお読みになるとその消息がお分かりになると思います。
また、彼女の守護霊が信頼に価する理由の一つに、応答型真性異言ラタラジューの対話実験に入る直前に、この実験は「霊界側の計画に入っている」と告げ、前世人格ラタラジューがネパール語対話をすることを予言したことにあります。
そこで、里沙さんの守護霊に、2013年8月に、「魂の自覚状態では、肉体を失った霊と同様の次元に並んだと考えてよいのか、だから霊的存在の憑依や接触が起こると考えてよいのか」と尋ねてみました。
その回答は、「そのとおりです」ということでした。
SAM前世療法における作業仮説の一つである「憑依仮説」は、こうして固まりました。
つまり、「魂状態の自覚に至ると霊的存在の憑依現象や霊的存在との接触現象が起こる。その理由は、魂の自覚という意識状態が肉体のない霊的存在と同様の次元に並ぶからである」という仮説です。
ちなみに、「その18」で述べた、私の守護霊団に属する8番目の霊と名乗る存在が憑依した現象も、被験者Aさんが魂状態の自覚に至ったので起きたと了解できるのです。
またその5日後に、ある青年を被験者にした催眠塾での実験セッションでは、魂状態に戻る直前に、それを妨げている3体の憑依していた未浄化霊が顕現化し、しかも口頭で霊界に行けず迷ってしまった事情を話すという現象が起きています。
①30代前半女性の憑依霊。妊娠中に結婚を約束した男に邪魔者扱いされ、腹部を刃物で刺され胎児もろとも殺された、と被験者は腹部を激しく痙攣させ、それを両手でさすりながら泣く。
②40代男性の憑依霊。事業が軌道に乗りそうなところで一緒に起業した仲間に裏切られ破産。妻子と離婚。失意のうちに自殺したと泣く。この憑依霊は、この被験者に憑いていることが心地よいので10年以上前から憑依し続けていると話す。また、①の女性憑依霊とは通じ合っているので寂しくなかったとも話す。
③10代後半の男性憑依霊。スピード狂で、高速道路下り坂道カーブでガードレールを突き破ったことまでは憶えているが、自分が交通事故死していることを自覚していないと話す。まだ、自分は死んではいない、生きていると主張する。
興味深いのは、①の女性憑依霊を浄霊作業したところで、もう未浄化霊の憑依はないと判断し、魂状態に至らせて前世人格を呼び出そうとしたところ、被験者の守護霊が憑依し、「まだ頑固な憑依霊がいるので、それを浄霊してやってほしい」と私に依頼したことでした。
そこで、別の未浄化霊が憑依しているのなら、出ておいでなさい、と呼びかけたところ、顕現化したのが②の未浄化霊でした。
この②の未浄化霊の浄霊作業を終えて、再度魂状態へもっていこうとしたところ、「ちょっと、ちょっと、待って」と軽い調子の早口で言いながら、自ら顕現化したのが③の憑依霊でした。
さらに興味深いのは、3体の浄霊作業を終えたところで、被験者の守護霊が再度顕現化し、「この者(被験者)は誠実で優しいいい男なので未浄化霊が憑きやすいのだよ。私の力ではそれを防ぐことができないのでこれからも、あなた(稲垣)が力になってやってほしい。お願いします」と依頼してきたことでした。
被験者の守護霊が顕現化し、未浄化霊の存在を指摘してその浄霊を依頼してきたことは初めての体験でした。
被験者の力になってほしいと、顕現化した(憑依した)被験者の守護霊から依頼を受けたのは2例目になります。
この青年被験者の3体の未浄化霊と彼の守護霊の語りは、きわめて稀な現象で作り話としても面白いのですが、実験セッションということで、ICレコーダーによる録音という証拠と、3名の塾生見学という証人がいますので、本当に起こった意識現象の事実です。
事実は小説より奇なり、という諺そのままの、SAM前世療法で起こった、憑依仮説どおりの意識現象と言えるでしょう。
ただし、こうした憑依現象の解釈にあたっては、被験者の無意識的な役割演技のなせる業だという催眠学的な解釈が排除できません。
あるいは、催眠状態が引き起こした被験者の妄想だ、という精神医学的解釈もできるかもしれません。
私の立場は、SAM前世療法の作業仮説である「憑依仮説」を支持する意識現象として受け入れています。
①の妊娠中の腹部を刺されて殺されたと訴える女性未浄化霊が、顕現化したときに起きた被験者腹部の痙攣状態は、役割演技や妄想によって起こったとするのでは到底おさまり切らない異常な身体反応でした。
現象学的立場に立って、起こったこと、語られたことの霊現象をありのままに受け入れないで、たとえば、腹部の痙攣は、想像妊娠という身体現象と同様の現象だとする唯物論的解釈に拘泥することには無理があり、不自然な営みだと私には思われるのです。
そうして、SAM前世療法で出会うこうした霊的意識現象の累積から、人の本質は霊的存在であり、魂は肉体が滅んだのちは霊に戻って死後存続し、やがて生まれ変わること、霊的存在が実在すること、など霊的真理を、理屈として知るのではなく体得することが、「魂の覚醒」につながるのではないか、と思うようになっています。
(その21につづく)

5 件のコメント:

momo さんのコメント...

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稲垣先生へ
「魂の覚醒方法」についてのご回答ありがとうございました。
精神状態が安定したら是非セッションを受けさせて頂きたく思います。
ただ不安もあります。憑依霊がついてるということではなく、退行できない方が一割ほどいらっしゃるとのことなので退行できなかったらどうしようという不安です。考えてもしょうがないのですが・・・。今回の記事でまた勇気づけられました。ありがとうございました。

稲垣勝巳 さんのコメント...

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催眠学上の統計では、そもそも催眠そのものに入れない人が5~9%(6名の研究者の数値)出るとされています。SAM前世療法の場合、催眠深度の差はあれ、まず100%入ります。ただし、魂状態まで遡行できない人が9%程度出るということです。また、その9%に該当しそうな人は、事前の被暗示性テストによっておおよそ分かります。こういう人は催眠療法に向かないと考えられますから、無理してセッションを受けないようにすることが賢明です。

momo さんのコメント...

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>稲垣勝巳さん
詳しく説明して頂きありがとうございました。
その9%に入らないことを願うばかりです。
希望がなくなってしまいますので。

ポン太 さんのコメント...

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 うーん、稲垣先生の研究がこの状態に風穴を開けることになるのでしょうか。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~spk/sp_newsletter/spnl_backnumber/spnl-26/spnl-26-1.htm
 シルバーバーチからの話をもとに文章を構成しているようですが、これは果たしてリサさんの応答型真性異言すら否定できるものなのでしょうか。
 もっとも面白いことに、転生自体は否定してはいないようですね。もっと文明が霊的に発達したら誰でも思い出せるという但し書きを加えておりますが。
 結局、転生や前世の記憶を語る人間がもっと増えてこない限り、なかなか市民権は得られないのかもしれませんね。例えば、我々は眠っている間に夢を見ることがあるが、もし夢を見る人間が全人類の1%にも満たなかったら、おそらく夢なんて眉唾として片づけられていたのではないでしょうか。事実であっても数が少なすぎてそれを立証するには大きなハードルがあるといったところでしょうか。
 最近では、アメリカ人で元日本兵としての前世の記憶を2歳のころに語った少年(今は空軍のパイロットらしい)の話も取り上げられていますが、こうした事例がどんどん増えてこない限り、なかなか現状を覆せないかもしれませんね。それが臨死体験にしろ、対抗催眠にしろ。

稲垣勝巳 さんのコメント...

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観念より事実、理屈より実証という立場が私の生まれ変わり研究のモットーです。
さらに極端に言えば、生まれ変わりの実証のない万の言説より、実証された一つの事例を尊しとするのが私の立場です。
こうした立場で生まれ変わりの科学的探究を志す研究者が多く現れるなら、おそらく実証事例が累積していくと思います。しかし、こうした事例研究は、偶発例を待つ、あるいは探すしかありません。したがって、アカデミックな研究者はやりたがらないのでしょう。そんな研究に研究費は出ないでしょうし、金儲けにならないからです。