2013年8月6日火曜日

SAM前世療法の成立 その17

SAM前世療法の憑依仮説
SAM前世療法の作業仮説は、私あて霊信の告げた内容が作業仮説になっていることをすでに明らかにしてきました。
こうして、SAM前世療法は、その成立の基盤として、私の守護霊団を名乗る霊の実在を前提にしています。
したがって、肉体を持たない霊的存在が、未浄化霊にしろ、高級霊にしろ、憑依をすることを事実として受け入れています。
このことを、SAM前世療法の作業仮説としての「憑依仮説」と言います。
こうして、霊の実在を認め、霊の憑依現象を認めるに至った経緯を次に述べてみます。
2005年6月の「タエの事例」以後4年間の経緯と「ラタラジューの事例」によって、私は、「魂」や「生まれ変わり」および、「守護霊」の実在を認める立場をとることを、徐々にためらわないようになっていきました。
この立場をとることは、私あての霊信で告げられている予言が的中していることや、守護霊団の存在を知らないはずの催眠中のクライアントに、私の守護霊を名乗る霊、霊団の一員を名乗る霊、あるいはクライアントの守護霊を名乗る霊の憑依とおぼしき現象が生じ、メッセージを伝えるという意識現象が、度々観察されていることからも、受け入れざるをえません。
何よりも、「ラタラジューの事例」との遭遇によって、ラタラジューという前世人格の実在と、その生まれ変わりの事実を認めざるを得なくなったからです。
顕現化した前世人格ラタラジューが、ネパール人対話者パウデル・カルパナ氏(朝日大学法学部博士課程女子留学生)に対して、「あなたはネパール人ですか?」、「ああ、私もネパール人です」という現在進行形の対話をした事実は、私にはきわめて衝撃的で、驚かざるをえない会話でした。
つまり、前世人格ラタラジューは、ただ今、ここに、顕現化し、現在進行形で会話したわけで、これを被験者里沙さんの前世の記憶として解釈することはできません。
ラタラジュ-という前世人格は、魂の表層に、今も、意識体として生きていることの証左です。
前世人格ラタラジューは、自分の生まれ変わりである里沙さんの肉体を借りて自己表現した、つまり憑依を起こしている、と考えざるをえません。
ラタラジューは、里沙さんの魂表層を居場所とする意識体であり、死者であり、肉体を持たない存在ですから、その意味では、霊と呼ばれる存在です。
ただし、前世人格は、ふだんの覚醒状態では、魂表層に位置付いていますから、居場所のない、この世をさまよう未浄化霊ではありません。魂表層を居場所とする霊的存在です。
しかし、前世人格が顕現化する現象は、未浄化霊が憑依を起こすように、自分の生まれ変わりである現世の里沙さんに憑依して自己表現していることになります。
SAM前世療法では、ラタラジューのように前世人格のあらわれる現象を「自己内憑依」だと定義します。
つまり、「自己内憑依」とは、自分の内部(魂表層)に存在する霊的存在である前世人格が、自分に憑依をする、という意味です。
このような、自己内憑依現象は、これまで発見されたことがないので、この用語は奇異な印象を与えますが、それ以外に適切な用語が見当たりません。
一般に言われる憑依は、自分以外の、外部の、異物としての霊が憑依することを意味してきました。
こうして、これまでのように異物としての霊が憑依することを、自己内憑依に対して、自己外憑依と呼ぶことになります。
魂と霊の実在を認める立場をとる理由は、それが直感に著しく反していないからであり、それを認めることが不合理な結論に帰着しないからであり、その霊的現象が唯物論的枠組みからは説明できないからです。
SAM前世療法の作業仮説は、霊の告げた魂の構造を前提にして導き出したもので、良好な催眠状態に誘導し潜在意識を遡行していくと、意識現象の事実として、クライアントが「魂の自覚状態」に至ることが明らかになっています。
この魂の自覚状態に至れば、呼び出しに該当する前世人格が魂の表層から顕現化し、対話ができることもクライアントの意識現象の事実として明らかになっています。
ラタラジューも、こうして呼び出した前世人格の一つであるわけです。
その前世人格ラタラジューが真性異言で会話した事実を前にして、魂や生まれ変わりの実在を回避するために、深層心理学的概念を駆使してクライアントの霊的な意識現象に対して唯物論的解釈することは、現行科学の知の枠組みに固執した不自然な営みだ、と私には思われるのです。
魂の自覚状態、前世人格の顕現化という意識現象(自己内憑依現象)に対して、事実は事実としてありのままに認めるという現象学的態度をとってこそ、SAM前世療法を実りあるものにしていくと思っています。
そして、クライアントの示す意識現象の諸事実は、現行科学の枠組みによる説明では、到底おさまり切るものではありません。
魂や生まれ変わりの実在を認めることを回避する立場で、あるいはすべて非科学的妄想だと切り捨てて、どのようにして顕現化した前世人格ラタラジューの応答型真性異言現象の納得できる説明ができるのでしょうか。
SAM前世療法の、霊的で、奇怪とも思われる諸作業仮説の最大の強みは、この作業仮説によって、応答型真性異異言「ラタラジューの事例」があらわれていることであり、生まれ変わりの科学的証拠として実証したことです。
ちなみに、イアン・スティーヴンソンも、「グレートヒェンの事例」において、真性異言で会話したグレートヒェンを名乗るドイツ人少女を「ドイツ人とおぼしき人格をもう一度呼び出そうと試みた」(『前世の言葉を話す人々』11頁)と記述し、呼び出された前世人格を「トランス人格」(前掲書9頁)と呼んでいます。
また、スティーヴンソンも、生まれ変わりを示す2000例余の検証の末、「前世から来世へとある人格の心的要素を運搬する媒体を『心搬体(サイコフォア)』と呼ぶことにしたらどうかと思う」(『前世を記憶する子どもたち』359頁)と提案し、いわゆる魂の実在を認めているのです。
つまり、深い催眠下で前世人格を呼び出し顕現化させる、というSAM前世療法における私と同様のとらえ方をしています。
おそらく、この被験者も里沙さんのような高い催眠感受性を持ち、タエやラタラジューの人格同様、催眠下で一気に魂状態になり、その表層に存在している前世人格グレートヒェンが顕現化したと推測して間違いないように思われます。 
また、ワイス式前世療法によって「前世記憶」として扱われている事例の中には、記憶ではなく魂表層の前世人格が顕現化して語っているもの(自己内憑依現象)が、必ずあるはずだと考えています。
なぜなら、ワイス式で前世記憶として扱った2005年の「タエの事例」のタエを、2012年にSAM前世療法で前世人格として顕現化させて尋ねたところ、「魂表層から顕現化した」と回答しているからです。
(その18へつづく)

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