2013年9月30日月曜日

SAM前世療法の成立 その25

SAM前世療法の作業仮説について
これまでSAM前世療法によって現象する様々な不思議現象(唯物論では説明不可能な現象)について紹介してきました。
応答型真性異言(ゼノグロッシー)や未浄化霊の憑依現象などです。
ここからは、そうした不思議現象を起こすに至るSAM前世療法の現時点で確立している作業仮説についてまとめていくことにします。
SAM前世療法の試行を始めたのは2008年初頭ですから、2013年の現時点まで5年余の歳月によって固まってきた作業仮説です。
SAM前世療法の作業仮説 その1 「心・脳の二元論」仮説
作業仮説とは、「その仮説が検証事実によって否定されないかぎり、ひとまず真理であるとみなしておく仮説」だと定義しておきます。
なぜ、作業仮説が必要か。
それは、ある事象・現象のメカニズムの探究を進めるための有用な道具として設定しなければ、探究にとりかかれず、探究を進めることができないからです。
この定義にしたがうと、地球科学では、ウェゲナーの「大陸移動説」などは壮大な作業仮説です。
心理療法では、精神分析学を創始したフロイトの「無意識」の概念と「汎性欲論」や、ユングの「元型論」も作業仮説です。そして、SAM前世療法の「心・脳二元論」も作業仮説です。
私の思いとしては、フロイトやユングの提示した「汎性欲論」や、「元型論」が作業仮説として認められるのであれば、それが霊信の告げたことに基づいているからといって、「心・脳二元論」が認められないという理由にはならないと考えています。
生まれ変わりを認める立場では、一般的に流布されている「心・脳一元論」仮説を、論理的帰結として 認めることはできません。
微弱な電気信号と化学変化のシステムの総体である脳というタンパク質の固まりが、心(意識・潜在意識)をつくり出しているという「心・脳一元論」に立てば、脳の消滅とともに心は作り出されなくなり、心(記憶)のすべては無に帰することになります。
したがって、前世の記憶などは、あるはずがない妄想だということになります。
しかし、私は「ラタラジューの事例」によって、応答型真性異言を証明し、この現象が生まれ変わり以外に説明のしようがないと確信を持つに至っています。
とすれば、脳以外に、生前の記憶なり人格を保持している何らかの意識体を想定しないかぎり、ラタラ
ジューという前世人格が顕現化する超常現象が説明できません。
死後存続するこの意識体を、とりあえず「魂」と呼んでおきます。
魂という用語は宗教色を色濃く反映していますが、SAM前世療法で用いる「魂」とは、「生前の人格や記憶を保持し、死後も存続する意識体」というほどの概念であり、宗教とはまったくかかわりのない概念です。
これを、生まれ変わり研究の第一人者イアン・スティーヴンソンは、宗教色を排除するために「心搬体(サイコフォー)」と呼んだらどうかと提案しています。
したがって、「心・脳二元論」を、SAM作業仮説では「魂・脳二元論」と言い換えることができます。
人間は、「脳」とは別個の「魂」と呼ぶ意識体を蔵しており、「魂」は「脳」の消滅後も存続する、これが生まれ変わりを認めるSAM前世療法の第1の作業仮説です。
そして、現代科学(唯物論)の知の体系に真っ向から対立する作業仮説です。
しかしながら、「心(魂)・脳二元論」は、W.ペンフィールド、J・エックルズ、R・スペリーなどノーベル賞を受賞した少数の優れた脳科学研究者が、自らの実験結果の末表明しており、けっして真新しい仮説ではありません。
臨床動作法(催眠を母体にして生まれた心理療法)を創始した世界的催眠学者、成瀬悟策医学博士も、講演のなかで「脳は心の家来です」という表現で、自らの催眠実験研究の末、「心・脳二元論」に至り、それを表明していると思われます。
唯物論科学の知の体系に染まりきっている現代人は、「霊魂」と聞くだけで非科学的だと腰が引け、そうしたことばを回避して唯物論枠内の説明原理を無理矢理ひねり出したり、それができないとなると、無視することが常態になっていると思われます。
こうした常態が生じているのは、「非科学的」ということばに対して、「唯物論の知の体系」と「科学の方法論」の混同があるからだと思われます。
この混同が「唯物論の知の体系」から外れた現象・事実、あるいはそれへの研究をすべて「非科学的」だと決めつけてしまう偏向を生み出していると思います。
「非科学的(態度)」とは、論理的思考、合理的検証、先行研究との照合など「科学の方法論による検討を経ないで、その現象・事実を真理だと鵜呑みにする短絡的態度のことを指して言うことばです。
少なくとも、SAM前世療法の「心・脳の二元論」仮説によって、引き起こされる催眠現象は、この仮説を否定するようなことは生じていないのです。
またこの「心・脳の二元論」仮説にしたがっておこなうSAM前世療法は、「再現性」が確認されています。
つまり、誰がおこなってもSAM前世療法の手続きを踏めば、ラタラジューであれタエであれ再顕現化が保証されているのです。
(その26へつづく)

2013年9月11日水曜日

SAM前世療法の成立 その24

前世人格顕現化中の三者的構図(セラピスト対前世人格の対話、それを傾聴するモニター意識)
論より証拠といいます。
SAM前世療法によって起こる意識現象の三者的構図の詳細な報告をしてくださったクライアントがおいでになります。
その報告を紹介します。
報告者は30代後半の女性クライアント、福祉関係の職に就いておいでになる方で、顕現化した前世人格の5人に1人程度しか口頭で話せない、その口頭で話すことができた事例です。
そうした前世人格発話中にも、モニター意識(現世の意識)の働きがあることがよく分かる貴重な報告です。
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2009530日、稲垣先生のSAM前世療法を受けました。前世療法自体が初めてでしたが、予想以上の展開でした。この貴重な体験を、先生との面接から催眠の導入、終了に至るまでの私の意識の経過としてまとめてみたいと思います。

初回面接(前世療法の説明、私の現在の健康状態について等)

 先生が左手の平を私の右手にかざしたところ(13~4センチほどの距離)ホカホカする温かさと徐々に圧力が強くなっていくのを感じました。
 私の手のひら表面にほのかに風が通り過ぎる感覚もありました。 
催眠のかかりやすさのテストでは良好であったため、ホットしました。
漠然と、かかりにくいのではないかと感じていたからです。
憑依があると催眠にかかりにくいとの説明を受けたとき、正直ぎょっとしました。
その時何となく憑依しているような気がしたので「そうではありませんように。
何体もいたらどうしよう。怖い・・」。と思いました。

催眠の導入段階

左ひと差し指でリズムをとるよう先生より促され、トントンと動かしていましたが「まずい・・・全く指が止まる気配がない・・」と思いました。
やや焦ってきた頃に、ふと指が止まったのですが「本当に催眠状態に入ったのだろうか」と少し疑わしく思っていました。
先生より、催眠状態に入ったのか右手人差し指で返事をするよう促されたとき、指が動かないため「あ・・やっぱり・・憑依かあるんだ~!」とぞっとしました。
すぐに先生は浄霊を始めましたが、内心パニックになり、冷や汗をかいていました。
しかし、次第に怖がることではないと感じ始め、ふっと体の緊張が解けた時、先生から浄霊は終わったと言われ、一体だけでよかったとホットしました。

前世の人格の登場①

 先生から、現在の私の状況に影響がある過去世の人格を呼び出されたのか、すでに過去世の人格が呼び出す前からスタンバイ状態だったかどうかははっきり覚えていません。

 なぜなら私自身の意識が全く衰えず、普段のままの思考状態で目を閉じただけの平常心だったからです。そのため、先生から「指で返答しますか?言葉で話しますか?」と質問され、指が勝手に反応する体験はしていたので、指で反応することはできるだろうと思いました。
 当然そうするのだろうと思っていたのですが、先生の「言葉で話しますか?」との問いにこっくり頷いた時には驚きました。
こんなに意識がさえているのに、自分の意志ではなく首が勝手に頷き、言葉で話すと返答するからです。
何も過去の記憶が想起されない状況で言葉が出るとは思えませんでした。
 「口頭で話すなんて大丈夫なの・・?」と思いました。
 まだ、別の人格の存在をはっきり認識はしていませんでしたが、どうやら意識というか、自分の意志とは別に体が反応することを理解しました。
 とりあえず状況に身を任せようと思いました。そして当然日本語で質問に答えていくのだろうと思っていました。


前世の人格の登場②

 先生からアジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ・・?と聞かれたとき、即座に反応はありませんでした。
 再度質問されヨーロッパに反応しました(首を縦に振る)。国名を聞かれ、唇がモゾモゾと動き始めました。
 発声はまだありませんでしたが、唇が小さく変わった形に動くため、「日本語の発音とは違う感じなのかな・・」と思いました。
 先生が、ギリシャ?と言ったとき、声を出そうとし始めました。
 ギとグの間の発音で「グイー」と言うような音だったと思います。
「わあ、本当に言い出した!」というのが私の感想です。
 先生が「ギリシャですか?」と問いかけたとき、頷きつつも「グイー」と発音しようと頑張っていた覚えがあります。
 先生が「ギリシャですか?」と再度確認したとき「その発音じゃないんだけどなあ・・」と私は感じました。前世の人格は何度も国の名前を発音しました。
 こうやって私の意志とは別に、勝手に話すことができるということを私は理解しました。
 次に都市の名前を先生が尋ねました。
 「ア・・ア・・」と発語するため先生が「アテネ?」と確認しました。        またしても「その発音じゃないんだけどなあ・・」と私は感じました。        日本語の発音が実際のものとはかけはなれているという実感だけはあるのですが、私自身が正しい発音を知っているわけではありません。 
 過去世の人格は「アティ・・」と何度も答えました。 
 この時「過去世の人格は、正しい発音にこだわってるな・・」と感じました。 
 名前を聞かれ「ティルソバイ」と聞き慣れない言葉を発しました。
 以後、先生の質問に異国の言語で返答し始めたため「えっ、日本語で話すんじゃないの?」と私自身、驚きました。せいぜい国名や名前の発音にこだわる程度だと思っていたからです。
 思いの外長い文章を話すため、あ然としました。
 先生もそれに気づき、録音装置をとりに行くため少々待ってもらえるか過去世の人格、ティルソバイに了承を求めました。
 ティルソバイはうんうんと頷きます。
 私も「待ちますよ」と思っていました。
 先生が急いで2階に駆け上がり録音装置を取りに行っている音を聞いて「これは、面接で先生が説明してくれた真性異言ってやつだろうか?」と思いました。
 この間、私の意識だけがあり、ティルソバイの意識や感情はなにも感じませんでした。 名前や都市の発音を思い出せないので「せっかく録音装置を持ってきてもらったのに話せなかったらどうしよう」と私は思いました。


ティルソバイの過去世

 ティルソバイの過去世の経過については先生の録音にあるとおりです。
以下は、ティルソバイが語っているときの私の意識を中心に述べていきます。
先生から結婚歴の有無を聞かれ、私も非常に興味があったのですが、すぐに返答せず反応が遅いため「既婚でも未婚でもないってなんだろう?」と私の方が不安になりました。何度か聞かれ、頷いていました(既婚でこども有り)。
以後、YESNOの質問には言葉による返事ではなく、頷いたり首を横に振るといった反応をしていました。
何歳で死亡したかの問いにも私は「なになに?」と興味をもって注目しましたが、ティルソバイは「○※・・」と外国語で答えるため「えっ?で、何歳で死んだの?」と私は心の中で突っ込んでいました。
先生も再度質問しましたがティルソバイは「○※・・」と答えるだけです。
この時「だって・・○※なんだもん・・」。というティルソバイの気持ちを感じました。
どうやら日本語は全く話せないので、こうとしか言いようがない・・といった感じでティルソバイも困っているようでした。
ティルソバイが外国語で話す内容は私には全く分かりません。
怒りや悲しみ、困った感情などは分かるのですが、発言の詳細は分からないのです。
そのため、先生に日本語の文章を古代ギリシャ語で話すよう言われると、勝手にティルソバイは話すのですが、それが合っているのか、あるいは見当違いなことを言っているのかも私は分かりません。
私もただ聞いているだけです。ただ、印象的だったのは、先生から好きな食べ物や父母兄弟の呼び方など単語を質問されると、国名を尋ねられた時のように、求められなくても2回以上繰り返し発音するようティルソバイは努めていました。
私が発音するわけではないのですが「正しく丁寧に発音を伝えなければいけない・・」と私自身も思いました。
そんな様子に「親切な人だなあ・・この人(ティルソバイ)も私も・・」と、感心もしました。
私とティルソバイは似た性質を持っていると感じました。

感情の共感、共有について

 過去世で襲われた件を聞かれると、眉間と目元をくしゅっとさせ始め、泣き出しました。
 泣き出すので「ああ、悔しかったのね・・」と私は理解します。
 ティルソバイの感情表出と、私がそれを共感するまでの間には若干の時間差がありました。
 ティルソバイのあふれ出る感情を同時に感じるというよりは、泣くので「ああ、悲しいんだ・・」。言葉が早口になり怒った口調になると「ああ、怒ってるんだ・・」。と、途中から勘づくといった感じです。
 しかし、私自身が全くの傍観者ではなく、気持ちを察知した後は、私も悲しい感情などは共感できるのです。
 ただし、強烈なものではありません。その感情が後を引くものでもありませんでした。襲われるといった経験をリアルタイムに再体験することはなく、ティルソバイのその事件についての集約した思いが共感できるといった感じです。
 そのため、リアルすぎて怖いといったこともありませんでした。

長文復唱について

先生が「いながき」という名前を入れて日本語の文章を古代ギリシャ語で話すよう促すと、ティルソバイは長文を話すのですが、なかなか「いながき」という単語が出てこないので、心配になりました。文章の終盤で「いながき」と言ったため「そこで入るんだ・・」と、文法の不思議さを感じました。
かなりの長文を話すのですが、私は「ちょっと中国語か韓国語みたいな発音だな。でたらめじゃないの?」と疑う時もありました。
ただ、私の意志ではないため、勝手にしゃべらせているといった感じでした。
先生がギリシャ語で復唱するよう話すとき、私が「最後までよく聞くんだよ。
途中から話さないようにね」と思うと、ティルソバイはそれに素直に従うのです。
途中から話し出すことはありません。
先生が長文を復唱するよう言うとき「そんな長いのは無理じゃないかな・・。大丈夫かな?」と私はよくティルソバイの心配をしました。
しかし、ティルソバイは頑張っていました。先生が「他にいっておきたいことは?」と聞いたとき、私は「何かいっておきたいことないの?言っておけば?」と思うと、それじゃあ・・といった感じでティルソバイは話し始めました。
内容はさっぱり分からないのですが。自分の役割というか使命を分かっているような印象を受けました。


翻訳について

先生を「ティルロ(?)」と呼んだ件に関しては、セッションがもうじき終了となりそうで、まだ話したりないといった感じが伝わってきて思わず出た感じでした。
先生が日本語でどういう意味か尋ねました。
私はとっさに「有り難うといっているのかな?」と思うと、かたことの日本語で「アリガト」と言いました。
しかし、先生が「僕の名前?」と聞くと、反応しました。
この時、私が当たりをつけて日本語でこういうことかな?と考えると、ティルソバイはそのまま発してしまうような印象を持ちました。
都市名「アティ・・」の時もそうですが、私が「アティア?」と思うと、それに似た発音をするのです。
先生の発音には「ちょっと違う・・」。という感覚を持つようですが、私が考えると、それに合わせようとする傾向があるのかもしれません。
そして、先生の質問を私が理解すると、おもむろにティルソバイは語りだします。
私が意味を理解したと同時に自動的に翻訳も完了しているといった感じです。
ただ、謎があります。
私は歴史が苦手で古代ギリシャの知識は呆れるくらいありません。
冒頭で先生が「どのポリス?」と尋ねたとき、正直私は「ポリス」の意味が分かりませんでした。
しかしティルソバイは何やら答えていました。
歴史的事実の知識については私に依存せず答えられ、質問者の意図をおおまかに理解する(日本語の理解)といったことについては私に依存するといったように、ティルソバイはちゃんと区別しているのかもしれません。
なお、先生が神殿に行ったことがあるかと聞いたとき、ないと首を横に振りましたがこの時「自分のような小さい存在はそんな所にはいけないの」と思っているようだと感じました。
このように、ティルソバイが感じることを、私はおおまかに理解できましたが、わかりやすい感情を伴わないような長文の発言に関しては、私はさっぱりお手上げでした。
ただしティルソバイは、古代ギリシャ語?一本で話通す!という姿勢だけは崩しませんでした。
私としては、話の内容が理解できないので日本語で話してくれればいいのにと思いましたが。
他にも思い出せばありそうですが、ざっとこんな感じでした。

私は髪をアップにしていたので首が疲れて少々疲労していましたが、ティルソバイは疲労した様子はありませんでした。
最後に先生に何やら声をかけていましたが、日本語で何て言うの?と聞かれたとき「バイバイ~」と言っていました。私は「それは英語だよ・・」。と心の中で突っ込んでいましたが。
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このセッションで顕現化した前世人格ティルソバイの発話した古代ギリシア語らしき異言が、真性異言(実在している外国語)であるかどうかの鑑定を、中部大学大門教授(英語学・言語学)に依頼しましたが、諸外国語に共通している文法上の規則的変化が見られないため、真性異言の真偽は鑑定不能という結果でした。
しかし、古代ギリシア語の真偽を詳細に分析・鑑定できる研究者は、日本にはいないのではないかと思われます。
また、催眠学上の見解では、催眠中には創造的活動がきわめて活性化する結果、架空の外国語らしき言語を創造的に考え出してそれらしく語る、という現象があることも分かっています。
公正な判断をすれば、ティルソバイのきわめて流暢な発話の異言が、真性異言であるのか架空の言語であるかの判断は留保という立場をとらざるをえませんでした。
ちなみに、この報告にある「怒りや悲しみ、困った感情などは分かるのですが、発言の詳細は分からないのです」という意識状態は、ラタラジューのネパール語発話中の被験者里沙さんの体験した意識状態と全く同様です。
それにしても、ラタラジューのネパール語による応答型真性異言が、いかに稀な事例であったかが、あらためて思い起こされます。
(その25へつづく)

2013年9月4日水曜日

SAM前世療法の成立 その23

前世のものが守護的存在(ガイド)であったクライアントの事例
このところ、SAM前世療法の最近のセッションで起こっている不思議現象についての報告が続いています。
今回も、テーマにあるように、そうした不思議現象のダメ押しです。
さて、そもそも守護霊であったような霊的存在が、人間として地上へ生まれ変わってくるような可能性はあるのでしょうか。
守護霊は、少なくとも、地上の人間より霊的成長・進化を遂げている存在のはずですから、生まれ変わりの繰り返しを卒業し、霊界の住人となっているはずのものです。
つまり、守護霊が人間に生まれ変わることはない、そのように私は理解していましたが、どうやらそれは正しい認識ではなかったようです。
この疑問の回答は、私あて第9霊信に次のような文言として告げられています。
【第9霊信の抜粋】
今日は、私たちのように守護する霊的存在について語ろう。
これは、あなたが学んだものとは異なるものである。
それは、感じることでしか理解することは困難である。
守護するものの中には大きく分けると、「生まれ変わりをしたことがある、かつては人として存在した者」と、「生まれ変わりをしたことがない者」がある。
これをM子
(霊信受信者)は、より分けるために、「守護霊」と「ガイド」として区別をつけていた。
彼女の中では「守護霊」とは生まれ変わりを経験したものであり、今後生まれ変わるものや生まれ変わりを必要としないものである。
我が霊団は、「守護霊」と「ガイド」で形成されるものである。
霊学としての基盤は、時として学びに対する壁となる。
そういった意味で、あなたはこれまで得たもので、捨てるべき知識を判断しなければならない。
エドガー・ケイシーは「守護霊」である。だが、彼
(生前のエドガー・ケイシー)やあなた(稲垣)を守護するものは「ガイド」である。
今ここで語る私は、M子のガイドであり、人として生まれ変わることを選択していない。
守護霊もガイドも霊的存在であることに変わりはない。
本質的には同じものである。

上記霊信によれば、私の学んできたこれまでの霊学の知識を放棄して、彼ら霊団の告げるところを採用しなさい、ということになります。
つまり、守護的存在には、今後生まれ変わるものや生まれ変わりを必要としないものが含まれるということらしいのです。
したがって、守護霊であった前世をもつ人がいても当然だと認めていい、というわけです。
また、生まれ変わりを経験しているものを「守護霊」、生まれ変わりを選択していないものを「ガイド」というように、守護的存在へと成長・進化していく道は二通りあるということらしいのです。
一方は、人として生まれ変わりを繰り返しながら成長進化し、「守護霊」へと至る道、もう一方は、霊界において霊的存在のまま成長進化する道を選択し、「ガイド」へと至る道、ということでしょうか。
さて、今回報告する事例は、なんと、直前の前世が「ガイド」であったという不思議な事例です。
クライアントは40代前半男性です。
私のセッションを受けた知人の紹介でおいでになりました。
霊的関心はなく、アンビリバボーを見ることはあるが、「タエの事例」も「ラタラジューの事例」も知らないし、拙著も読んでいないという、非スピリチュアル系の人だと思われます。  
中卒で職人の道に進み、30代半ばで独立し、小さいながら会社経営に携わっておいでになるという経歴の持ち主でした。
ところが、右腕ともいえる部下の二人の職人が、突然別の同業者のもとへ転職し、仕事が危機的状況に落ち込んでいる、その原因がどう考えても経営者の自分には思い当たるふしがない、なにか前世のものからの影響があるのではないかを探りたい、ということでした。
体格雄偉、陽に焼けた筋肉質の肉体で、いかにも屋外労働でたたき上げてきた職人を彷彿とさせる印象でした。
見方によれば、筋者と見間違えられそうですし、ご本人もそう見られることがあるということでしたが、目元が涼やかであることが人品卑しからず、表の世界を真っ当に生きておいでになったことを示していると思われました。
以下は、魂状態確認後のセッションの逐語録です。
このクライアントは、口頭では答えることができないタイプでした。回答は指を立てることによるものでした。
ちなみに、彼は催眠初体験です。
私 : あなたは魂表層の前世の方ですね。
CL : はい。
(はい、の場合は指を立てるという約束)
私 : 私が呼び出していないのにあなたが出ておいでになったということは、なにか癒しを求めておいでですか。
CL : 指反応なし。
私 : それでは、あなたという存在が魂表層においでになることを、あなたの生まれ変わりであるこの者に知らしめるために、こうして出ておいでになったといことですか。
CL : はい。
私 : それではあなたの身元を教えてください。まずあなたの性別を教えてください。男性ですか?
CL : 指反応なし。
私 : 女性ですか?
CL : 指反応なし。
私 : 性別がないのですか?
CL : はい。
私 : ということは、性行為を不要として性別が退化している宇宙人であるか、霊的存在であるかのどちらかですね。あなたは、霊的存在、つまり守護的な存在として霊界の住人であった方でしょうか?
CL : はい。
私 : 守護的な存在であった方なら、霊的成長を遂げておいでのはずで、人に生まれ変わる必要はないはずですが、あなたは自ら人間に生まれ変わることを選択されたのですか?
CL : 指反応なし。
私 : それでは、あなたより上位の霊的存在からの指示で人に生まれ変わったのですか?
CL : 指反応なし。
私 : それでは神の指示でしょうか?
CL : はい。
私 : そうなのですか。生まれ変わりの使命は、神からの指示は、地上に霊的真理を広めよということでしょうか? 人間の本質は霊的存在であるとか、魂は実在し生まれ変わるとか、あなたのように霊的存在が実在しているとか、ひいては神が実在するとか。
CL : はい。
私 : それは、現在の人類が危機的状況にあるので、そうした霊的覚醒を促せということでしょうか?あなた以外にも数人が同様に、守護的存在から使命を帯びて人に生まれ変わったという」事例があるのです。
CL : はい。
私 : ところであなたは生まれ変わりを経験しておいでですか?
CL : 指反応なし。
私 : それでは、生まれ変わりを経験することを選ばないで、霊界で独自の進化成長の道を選ばれたのですか。
CL : はい。
私 : あなたはこの者の魂表層においでになるわけですが、かつて守護的存在であったあなた自身が、現世のこの者の守護的存在を務めておいでになるということでしょうか。 
CL : はい。
私 : それではあなたとは別に、この者を守護する存在はいないのですか?あなたはこの者の守護霊でもあるということですか。
CL : はい。
私 : 魂表層には、あなた以外に前世の者がいますか?
CL :: 指反応なし。
私 : いないのですか?
CL : はい。
私 : 守護的存在であったあなたの次の生まれ変わりが現世の者であって、それ以外に生まれ変わりを経験していない魂ということですか?
CL : はい。

私 : あなたという存在が魂表層にあって守護しておいでになるということであれば、今、現世の者が陥っている仕事上の困難はきっと克服できると思ってよろしいでしょうか。
CL : はい。
私 : 今回の現世の者が陥っている困難は、魂の成長進化のために与えられた負荷ととらえてよろしいですか。
CL : はい。

というような展開でセッションが進みました。
覚醒後、このクライアントの第一声は、「いやあ、信じ難いです」でした。
私と、前世の者である守護霊との対話を、モニター意識(現世の意識)が傾聴しているので、潜在意識を宿らせている指(この場合、前世の守護霊の意識)が、勝手に動かされて(自動動作を起こして)答えていたことを自覚しているからです。
覚醒後の聞き取りによれば、彼はこれまでに当然死んで当たり前の交通事故を2度体験しているが、軽傷で済んでいるということでした。
また、2度にわたって会社倒産の危機があったが、必死の努力によって思いがけない道が開いて、乗り切ることができたということです。
「いやあ、守護霊が守ってくれているから、ここまでやってこられたということでしょうかねえ。今回も乗り切る自信が湧いてきました。学歴もなく、自分を頼って働きにくる連中のためにも、中卒でもこうやって社長にまでなれるんだという夢を与えたいと踏ん張ります。そうやって夢を与えることが使命なんでしょうかねえ」
という気づきを得て、このクライアントはお帰りになりました。
ちなみに、彼の魂は、ガイドであったこと以外に、人間の生まれ変わりを経験しないということになります。
アラン・カルディックの霊信記録『霊の書』によれば、魂の誕生したての状態は「無知、無垢です」とだけ通信霊は教えています。
彼の人柄もそのようで、いつも好奇心旺盛でじっとしておれず、親切で悪気がないという周囲の評価であるようです。
突然辞めて去った二人の部下への恨みごとは一切なく、どういう事情なのか不可解だと言うだけでした。
むしろ、社長である自分に責めがあるのだろうと思い、その責めに思い当たることがなく、セッションを希望されたということです。
今どき珍しく、実に後味爽快な、素敵な男らしい人物に出会い、今夜はよく眠れそうです。
(その24へつづく)